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2005年8月27日 (土)

ひやかし おことわり

たまには本の話。『お笑い芸人就職読本』(草思社)です。

いくらお笑いが好きと言っても、ある程度大人になるとタレント本もなかなか手を伸ばしにくく、雑誌となると立ち読みするのも周りを意識してしまい、勇気が要るもの。でも、この『お笑い芸人就職読本』なら大丈夫。お笑いを目指す人のために書かれたものですが、若手から大御所にいたるさまざまな芸人さんへの取材が元になっているので、こうした人達の体験やお笑いに対する考えを知ることもできて、すごく興味深い一冊になっています。

内容は、まずお笑い芸人とは?というところから始まり、どうすればなれるのかどんな芸人になるのかテレビと芸人の関係、そして実際に芸人になった時の生活など。昔のように何とか頼み込んで師匠に弟子入りするのではなく、お金を払って養成所に通えば入口が開かれ、周囲にも芸人になることを理解してくれる人が増えた今、流行にのって軽い気持ちでお笑いを目指す人も多いのだとか。そんな人達に著者の増田晶文さんは「甘い考えで入る場所じゃない」と警鐘を鳴らす一方で、何とかプロになろうともがく彼らを応援してくれています。

よくテレビでも売れない頃の苦労話が出てきますが、これを読むと笑いというオブラートに包んでいないだけにシビアな世界ということがよく分かります。最近は麒麟田村さんの貧乏話が有名ですが、実は川島さんの方もbaseよしもとでの出番が増えて始めた頃に結構苦しい思いをしていたそうで、当時は「餓死という言葉が真実味を持って迫ってきた」そうです。それでも最近の活躍を見れば、苦労も報われたんだろうと思いますが、結局、報われないまま悲惨な末路をたどっていく人もいるわけで。この本ではそんな人についてにも触れています。お笑いでなくとも、企業に属さずに働いている人にはよりリアルに感じるところでしょう。

他にもお笑い芸人を抱える事務所テレビ番組の制作側の話も出てくるので、「なんであの人ばっかりテレビに出るの?」「どうしてこんなオンエアの仕方をするの?」「お笑い芸人じゃなくてただのタレントになってない?」なんて疑問を持っている人には、溜飲を下げるきっかけになるかもしれないし、余計混乱するかもしれないし…。どんな世界であれ、戦略がなければ生き残れないのは確か。

長く兄弟で漫才をしてきた喜味こいし師匠にも話を聞いていますが、あれだけたくさんの人を笑わせてきたにもかかわらず、自分達は「芸人」から程遠かったとおっしゃったそうです。「芸人」とは、つまり「芸がある人」のこと。こいし師匠に言わせれば、夢路いとし・喜味こいしの漫才は「芸」ではなかったんだそうです。簡単に「芸人」と名乗る人が多い昨今、このこいし師匠の言葉はとても重いような気がします。

単なる裏事情が分かるだけではない『お笑い芸人就職読本』。大人のお笑いファンも、どうぞ恥ずかしがらずに手にとってご覧下さい。

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