2017年5月28日 (日)

「団体芸」もご愛嬌!? 『やすらぎの郷』を見続けてしまう理由

開始直後から各所で話題のドラマ『やすらぎの郷
平日昼間に放送する「シルバードラマ」という、仕事をリタイアした高齢者をターゲットにしたドラマのようですが、開始直後は今のテレビに対する批判が語られ、想定より若い世代もひきつけることになりました。私もそんなところから見始めた視聴者の一人。今ではすっかりハマり、毎日欠かさず見ています。

最近は、テレビ批判は鳴りを潜め、老人ホーム「やすらぎの郷」で巻き起こるさまざまな出来事を中心に話が進んでいますが、それでも見続けてしまう理由には、全体の分かりやすさがあると思います。

このごろは一話完結形式の連続ドラマでも、全体に流れる伏線があったり、敵だと思っていた人物が実は味方だった、というように登場人物の関係性が変化したり…と、視聴者にいろいろ考えさせるドラマが当たり前です。ところが、『やすらぎの郷』はそれがない。しかも、かなり最近まで登場人物の役名とあだ名が毎回テロップで表示されていました。だから、視聴者はストレスフリーでストーリーを追いかけることができるわけです。

ドラマに限ったことではありませんが、テレビを見ていると必ず一つや二つ、分からないことが出てきます。セリフに登場する言葉や、誰と誰がどういう間柄だったか、など。両親などを見ていると、年を取るにしたがってそういうことは増えてくるのだなあと思います。日本は高齢者が増えると言われながらも、テレビはまだ若い世代に向けて発信されているものが多く、年寄りがついていけないものも多い。それを『やすらぎの郷』は「シルバードラマ」として丁寧に作り上げ、きちんとクリアしています。登場人物が少ないわけでもなく、また、毎回、石坂浩二演じる菊村栄が目を白黒させるほど、さまざまなことが起きる老人ホームの話でありながら、ストレスなく楽しめるというのは、脚本の倉本聰先生の力はもちろん、携わる人たちの努力によって成り立つものであり、それがずっと見続けられる大きなポイントになっていると思います。

もしストレスを感じるところがあるとするなら、出演者のせりふ回しや間(ま)が微妙に怪しい時でしょうか(笑)。でも、そんな場面でも誰かがしっかり演じてくれる。もしかしたら、このドラマはある種の「団体芸」みたいな見方もできるのかもしれません。

元スター女優たちがもう一花咲かせたいと脚本家に言い寄ったり、やすらぎの郷での出来事を小説にして発表する人がいたり、いつまでもダンディを気取りたい俳優が登場したり…と、なかなか安らぐことのない『やすらぎの郷』。始まった当初は名俳優たちをダシにして、今のテレビ業界を痛烈批判するドラマかと思っていましたが、どうやらその推測は間違いだったようです。

昨日、本屋でこのドラマのシナリオ本を見つけてしまいました。上巻・中巻が出ていて、上巻でさえまだ放送されていない回が含まれています。チラッと読みたい、でも放送まで待ちたい…少し葛藤した末、来週分をパラパラと眺めてみました。予告として放送された通り、来週は冨士真奈美、津川雅彦が新たに登場。またもや問題が起きそうで、さらに久しぶりにテレビ業界に関する話も出てくるような…。詳しいところまでは読みませんでしたが、今後も菊村先生が驚くような出来事が止まらないようです。

最近の私は、『やすらぎの郷』に加え、Eテレの子ども向け番組にもハマっています。どんなメディアでも製作者が訴えたいターゲットがいるはずですが、大まかな範囲こそあれ、そこから多少はみ出た層にも、想定していた視聴者とは別の目線で感じてもらいたいところがあるのかも…などと、都合よく解釈しています。

| | コメント (0)